米粉100%パン

パンの断面を良く見ると、細かい気泡がいくつもあるのがわかります。この泡が、パンを膨らませ、食感を生み出すために重要となります。西岡研究室ではパンを発泡スチロールや食洗用スポンジなどと同じ発泡成形品であると考え、生地の粘度(粘り気)を制御することで「世界初の米粉100%パン」の開発に成功しました。 プラスチックで発泡スチロールのような発泡成形品を作る時は、あまり粘らない低粘度のプラスチックと、よく粘る高粘度のプラスチックを混ぜて、発泡に適した材料の粘度(粘り気)に制御します。この技術を応用し、結晶性米粉に水と混ぜると良く粘る「非晶性米粉」を加えて生地を発泡に適した粘度に制御することで、米粉100%パンの開発に成功しました。

米の新規非晶化技術

非晶性米粉は水を加えることで粘る特性を持っており、パン生地等の物性を変化させる添加剤として使用されています。また、天然資源であることからプラスチックやフィルム等の他分野への応用も期待されています。しかし従来、非晶性米粉は、多量の水と熱を用いて炊飯、その後急激に除水するという工程で作製されています。このため、非晶性米粉は作製に時間がかかり、高コストなものとなりました。そこで近年、西岡研究室では石臼で熱とせん断を同時に印加することにより無加水で米を非晶化させる新規非晶化技術を開発しました。これにより短時間かつ低コストでの非晶性米粉の製造を実現しました。